「ケイキュー忘れないでね」
母親が子どもに呼びかけた。ケイキューってなんだ? ぼくらがいるのは和室の畳の上。そんなものあったっけ? ケイキューといえば京急かもしれないが、ここは京急の路線とは程遠い。ちょっと困惑した。
帰り支度を終えた母親が立ちあがると、子どももそれまで遊んでいたおもちゃをつかんで駆け出した。手にしていたのは、京急。京急の車両のおもちゃだった。京急が、襖の桟を走っていた。
京急電車を模したおもちゃだからケイキュー。電車が好きなのかもしれない。同じ電車でも、山手線もあれば丸の内線もある。もしかすると系統まで知っているかも。それぞれ区別がつく子どもには、「おもちゃの電車」じゃ通用しない。
赤ちゃんや子どもが相手だと、ついつい子ども言葉(?)で話しかけてしまう。でも時には、子どもにたしなめられているかも。